他府県のひとの東京に対する痛罵を耳にすることって、そんなにしょっちゅうあるわけではないのだが、いつだったか近所の安カフェでのやつは結構激しく、かつ、じゃっかん痛いものがあった。


サラ女:「もう、ほんと、東京もん、あかんて」
サラ男:「ちゅーごく支店は、東京本社のひとばかりだったでしょ?」
サラ女:「へたればかり。ほんとどうしよーもないわ。わたしがいなかったら完全に負けてたよ。ちゅーごく人に」
サラ男:「孤軍奮闘だね」
サラ女:「最初十人いて、すぐにみんな東京戻りたいーて泣き入れて、会社もそうかい云うて受け入れて、最後、わたし含めて三人よ、さんにん! 実質仕事になってたのわたし独りよ。どんだけよ? なめとるよ。死ぬ気でやれよ、関東人!」
サラ男:「てことはね、ルミちゃん(仮)、ちゅうごく人と合ってるんじゃないの?」
サラ女:「えっ?」
サラ男:「ちゅーごく人と合ってるんじゃないの? 君のキャラが」
サラ女:「それはない。それはない…」
サラ男:「ルミちゃん、ちゅーごく人的なんじゃないの?」
サラ女:(あからさまに話しをそらして)「東京もんって、なんであんなに歩くの遅いのやろ? もうっほんまムカツク! なんやのアレ、とろとろとろとろして、『もっときびきび歩きぃ!』って叱ってやりたいわ」
サラ男:「遅い・・・のかな?」
サラ女:「多分な、東京って、大阪とちがって競争がないからやろな。競争しないのよ。ここの人間たち。競争放棄」
サラ男:「え」
サラ女:「ちっともねぎらへんしな、客。どこいってもそのまんまで買うてるし。あほかと」
サラ男:「うーん。。。あの。。。」
サラ女:「もうおおおおお、とにかくイラつく。早く帰して欲しい。大阪に」
サラ男:「・・・」


サラ男はルミちゃん(仮)の大学時代の友人のようであった。彼も関西人らしいのだが東京に長く住んでいる様子で言葉も完全な標準語であった。ルミちゃん(仮)は仕事でよほど業腹な体験をしたのであろう。サラ男の言葉に対してすべてマジレスであった。