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そういえば隣席の口がささがない女に乃公が東京湾岸のコンビナート内で工員をやった経験のあることを話したら、なにかヤバイ話を聞かされたように急におし黙り話を別のほうにもっていこうとするので驚いた。同様なことは以前にも一度あったのだったがそのときの人たちとは違って隣席の口がささがない女は相当な苦労人なので、こうした話には興味津々となってくれるだろうとフンで話柄にした次第だったのでとても意外に感じた。

いま誰かに「あそこで働きたいがどうだろうか?」と相談されたら 「できることならやめたほうがいい」 とアドバイスするだろうけど、場つなぎとしててっとりばやく稼ぐことはできたので(現在はどうなのかは知らない)、人生のなかの汚点とまでは思っていない。

ただ、昔は京浜地帯のコンビナートの夜景が好きだったはずなのに今それを眺めると一寸鬱な気持になってしまうのが残念ではある……。