世田谷美術館「冒険王・横尾忠則」
懐かしい人と一緒に世田谷美術館の「冒険王・横尾忠則」展に行って来た。
彼女は横尾忠則をまったく知らなかったので、この企画の展示作品にはあまりピンとこないのではないかと少々心配だったが、かなり愉しんでくれたみたいだった。
横尾ファンの俺として興味深かったのは、イラストの原画であった。
トレペかぶせて色指定チップを貼ったままの状態で拝見することができ、特に、「うろつき夜太」シリーズものが仰山あってよかった。
絵画作品では、今世紀以降、「赤色」が主題化していることが印象的である。
「赤い風景を描くミッキー」には、かの世界的キャラ(鼠)の後姿が描かれてるではないか。
こういう場合著作権問題はどうなのだろうか。作家所蔵状態であれば特に問題はないのだろうか、それとも世界のYOKOOクラスだと存外すんなりいくものなのだろうか、などと余計なことに頭を使いながらも、百糎^2百糎×百糎超えキャンバスにひろがるYOKOOワールドを堪能した。
今回もっとも面白かったのが、「実験報告」('96)と「Experimental Report」('08)である。
後者は、プラキャスト、FRP、その他によって前者を三次元化した作品なのだ。じっと視ているうちに、もって帰りたくなってしまった。
最近はガチャガチャなんかでも気軽にアート作品を入手できるようになったけれど、たとえば、マルセル・デュシャン「階段を下りる裸体No.2」なんかを無理やり三次元化すると面白いのではないだろうか、と書きつつ思い出したけれど、すでにそういうのあったっけ......キリコなんかのジオラマをどこかで見たことを憶い出した......。ところで、最近の横尾さんの作品については、随分以前からここで紹介していたようだ。
[追記1]
きょう横尾さんの日記(5月20日)を読んでびっくりしてしまった。この愚ログをご覧になり当惑されて筆を取られたのではないことを祈るばかりだ(しかし検索してみるとこんな余計なことを書いているのはココだけのような......)。
拙文を読み返してみると、なんとなく不躾なニュアンスがなきにしもあらずですが、あくまでも単純素朴な興味からこぼれた感想です。ご寛恕いただければ幸いです。
[追記2]
上エントリの同道者に、古書店で入手した横尾さんの『私の夢日記』(角川書店)をプレゼントしたら目を輝かせて受けとってもらえて、探した甲斐がありました。自分のものを貸してもよかったのですが、この本は是非所有してもらいたかったのです。文庫もグーですが、単行本は、箱、装丁から印字(青色)に到るまで素晴らしい造本なので、是非いつか再版していただきたいという気持ちで一杯です(などと、誰に向けて言ってるんだろうか)。
- 作者: 横尾忠則
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1979/04
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