スターシップと俳句 (ハヤカワ文庫 SF (580))作者: ソムトウ・スチャリトクル,冬川亘出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1984/10メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 9回この商品を含むブログ (14件) を見る

むかし駅近くの古書店の店頭で入手したのを(読まずに)そのままNさんに差し上げたのだけどNさんは(SFが苦手なせいか)それから10年以上の間まったく読む気配がないのでそれなら先に私が読もうかしらんと5年程前に返してもらったところ(数ページ読んだだけで)そのまま積読状態に移項中という体たらくだったので「いい加減読まないといけないぞい」と思い立って昨日読了した。

それなりに面白く読み進めたのだけど《死の美意識/死への衝迫》を俳句に結び付けている点がちょっと気になった。そのような扱いならば和歌のほうが断然しっくりくるんじゃないのかなと。
でもなんというかあえてたとえると、茶室に剣道の防具を纏った男が端坐しているかのような、そんなオカシミが冒頭から結末まで貫かれているので、ぜんたいとして俳諧精神に満ち溢れたSF小説だとはいえるのかもしれない。
関係ないけどあの小林一三は仕事でピンチに陥るといきなり俳句をつくりだす奇癖をお持ちだったそうだが、じつはわたしもそれに近い習性があるのでその逸話を読んだときはちょいと嬉しい気もしたのだが、ただまあ私の場合、単なる「逃避」なのだろうナ……。