まちの“なんでもない”本屋さんの取り揃えについては、そのまちにどれだけ大学生が居住しているかというのも、すくなくとも昭和末までは相関があったんじゃないでしょうかね。
いまでも憶えている印象的な事例は、W大生時代のSから、当時彼が住んでいた玉川を渡った町の“なんでもない”本屋さんに、上掲書があったことを聞かされたことです。しばらく買わずにいた一般教養科目のテキストだったので、その場で引き抜いてレジにもっていったとのことでしたが、おそらく当時は玉川/多摩川を渡ったあたりに下宿するW大生も少なくなかったのでしょうね。ただそんなことよりもそのときおれは、岩波哲男先生 という哲学教授が存在することを初めて知って、「絶対、親は岩波書店を意識して命名したよなー」と(大変失礼ながら)噴出してしまった次第なのでした。。。
そういえば十五年ほど前高田馬場の老舗古書店のおじさんが「もう最近のW大生なんてウチじゃ本買わんのですよ。お金持ちの子息ばかりになっちゃって、『古本は汚いから必要があれば新刊本で買っちゃえ』って言うんですよ」と、どこか地方の大学で教員をやっているとおぼしきお客さんにこぼしていました。教員さんは「品切れや絶版本は読まないんですかね」と苦笑していました。。。