Base

10年以上前のことだが、四ッ谷駅(丸の内線)から、20代サラリーマン5人と、彼らに迎えられたとおぼしき白人男性ひとりが乗り込んできた。
ひとりのゲストを迎えるのになんで5人も雁首揃えなきゃならんのか分からなかったが、彼らのうち英語ができるのは一人だけで、それも、カムカムイングリッシュレベルであることが直ちに聞き取れた。
白人男性は(おそらく雑談なんて無理なことを承知のうえで)本当にあたりさわりのないことを口にするのであったが、それに対して、本当にあたりさわりのない言葉しかかえってこない、まあ、ありがちな展開となった。
やがて白人男性の質問に対して、英語青年は完全に言葉に詰まってしまい、白人男性は 「ちょっと答えにくい質問かな?」 みたいな言葉で気遣うのだったが、それに対する英語青年の返答が、
We Japanese don't have base of English!
なのであった。
2秒くらいの微妙な間があっただろうか、白人男性は「 " Base of English "...」と穏やかに頷きながらも、ものすごい勢いで貧乏揺すりをし始めた。英語青年はそれには全く気づかぬ気配で、「Yes, Yes!」と嬉しそうに答えていた。白人男性は会話を中断し、つまらなそうに窓の外を眺めはじめた。

わたしはこの出来事を長く忘却していたのだが、アニメファンの間では夙に有名らしい
all base are belong to us
を目にして、この出来事が思い出された次第である。