前にも記したが、おれは、話し相手が有名人と出会ったことを語るのを結構愉しんで聞く性格だと思う。

むかっとくるのは、自身が聞くだんになると、途端にどうでもいい態度をうかがわせる輩である。いや、むかっとくるというか、「つまんない人間だなこやつは……」と嘆息するという感じだろうか。

それから、そのひとの家系に偉いひとがいる、有名人がいる、という話も結構好きだ。
もちろん、偉いひとがいる、有名人がいる、というだけの事実を打ち明けられるだけでは愉しんで聞く事にはならないのだが……。

「偉いひと・有名なひとが身近にいる噺」以上に愉しめるのは「破天荒な人生を歩んでいるひとが身近にいる噺」かもしれない。そういう御仁の話を愉しむというのは、話し手の尾鰭のつけ具合を愉しむということでもあるのだあろう。