騙された。楽しく、悔しい。
自分がきわめて単純な脳みその持ち主なのかもしれないと本格的な危惧をいだいたのは十年ほど前、NHKの埋草番組で、David Blaine という手品師の路上パフォーマンスを紹介した海外の製作物を観たときだ。
ひとつは、一組のトランプをカメラに向けて素早く捲り「あなたが見たカードのうちの1枚を思い浮かべてください……それは、これですね!」と言い当てるトリック。俺は、見事的中された。
もうひとつは、街中で偶然出会った(体の?)男性に、「適当に4桁の数を思い浮かべてください」「TVを見てるあなたも思い浮かべてください!」と挑発するもの。果たして Blaine 氏は「その数は****です!」と、画面の男性とともに見事的中(=誘導)させたのだ。
前者のトリックはトランプを捲るスピードを当該カードだけコンマ数秒ほど遅くするものだと(直ぐに)分かったのだが、後者については見当もつかなかった。
その番組はオープニングから面白そうな予感があって録画しておいたので、後日、件のインベーダーゲーム百万点プレイヤーの友人にも見せてみた。
彼の場合、トランプは見事的中(誘導)されたものの、4桁数字のやつは、はじめの2桁までにとどまった。
そんなわけで、この新機軸マジックを褒めるにやぶさかではないが、「これって結局、俺の単純脳が相俟ってのことなのだろう……」と若干暗い気持ちにさせられた次第なのである。
Blaine 氏の予測が外れた視聴者は「フン、ぜんぜん大したことねーな」でそのまま忘却するだろうが、言い当てられた単純脳の人間はその驚きを分かち合いたくて、なるべく自分同様レベルの単純脳な友人・知り合いを中心に紹介してゆき、かくしてファン層が形成されていくのだろうか?
当文章を読んでくださった方を単純脳人間扱いする気持ちは毛頭ありませんが、Youtube にあるBlaine 氏のパフォーマンスをリンク致します。以前は相手の腕時計を素早く外して自分のポケットに隠す掏摸技が見られたのですが、まだあるかな?
そうだった、俺、以下を完読してなかったわい。
- 作者: ベンジャミン・リベット,下條信輔
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/07/28
- メディア: 単行本
- 購入: 8人 クリック: 49回
- この商品を含むブログ (66件) を見る