»non-title«

S さんについては放置する方針というのは、たとえ彼によるやらかしがあっても被害が最小限だと見込まれる単純業務しかまかせないという意味であり、本来彼が果たすべき他の業務のすべては直接雇用の非正社員らが分担することになった。

このような措置がとられた場合大概自ら退職願いを提出するのが常らしいのだが S さんはそうするつもりは毛頭なく会社から切られるまで居続ける所存だという。

周囲のひとの話によると斯様なる豪の者は過去にいたためしがないらしいが、俺は、彼がそうしたければそうすればいいと本気で思っている。

責任があるのは彼を正社員として採用した元支店長氏なのである。氏は会社設立以来最高の「愚眼」の士として定評があるのだそうで、氏が打ち出した改革は見事その全てが裏目に出てしまったとの由。現支店長氏はその尻拭いをするために当ポジションを与えられたのだそうで、まったく望まなかった出世なのだそうだ。

いやはや…。