トンデモ外資でのお話
派遣会社のナカヌキのとんでもなさって確かにとんでもない話だが、以前某外資C社に派遣されていたとき、思いがけずも当社が当該派遣会社と縁を切る運びとなり(当該派遣会社の不祥事発覚が理由)、丁度契約更改月だったオレと幾人かは、運良く?その某外資C社の直接非正規雇用候補者に選ばれたわけであったが、一挙に200円も下げられた時給案を提示されて思わず仰天したのは懐かしい思い出である。仕方なく暫くはその条件で働かざるを得なかったのだが……。
労働者に対して斯様に強気でいた某外資C社もリーマンショック後は正規雇用者の大半が去っていったみたいである。オフィスも都内の一等地にあったビルから規模を縮小して別の場所に越していた。
あの会社で思いで深いのは、生活苦のあまり医者にかかれず、派遣入社した2週間後に社内(給湯室)で吐血して倒れているところを某社員に発見され、そのまま救急車で運ばれ即座に契約解除されたA女史である。見舞いに訪れた当部署のマネージャー氏に対しては「大丈夫です。お願いです。このまま働かせてください!」と切々と訴えていたそうであるが、マ氏は「病状次第では働かせてあげたいとも思ったんだけどね……さすがに無理だワよ」と呟いていた。
A女史と同年齢で(社内では天然ボケで有名だった)正社員のNsちゃんは、「あーなんか悪いことしちゃったなあ。Aさんから『Nsさんみたいなひとと一緒にはたらけることになって本当に嬉しい! よかったら友達になってくれませんか?』ってメールもらっちゃったんだけど、答えをはぐらかして返信しちゃったよ・・・」と、ボソッと云って暗い顔をしていた。
貧困生活のなかで厄介な病気に罹患するというのはすなわち底なしの不安のなかで生きることを意味するに違いないのだが、彼女が、もうとっくに病気から回復されてどこかで元気に働いているか、あるいは、結婚して幸せな人生を送っていらっしゃることをせつに祈る次第である。