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- 日本人がアジア人を愚弄する言辞・態度を目にして覚える嫌悪感は理性ではなく極めて感情的なものだ。
- 至極単純な話で小学校二年生のとき一番よく遊んだグループに台湾から転校してきた呉くんがいたからだ。
- 当時は、ブルース・リーとアグネス・チャンが絶大な人気を博していた。
- 最近ではなんとなくお笑い的な扱いを受けているアグネスちゃんはまさしくカリスマだった。クラスの男子にも女子にも圧倒的な人気のある唯一の歌手だったと記憶している(それに準じていたのは西城秀樹かな……)。
- 呉(ゴー)くんとの思い出で忘れられないのは、王貞治さんのご自宅にサインをねだりに行ったときのものだ。
- 芝生が広がるお庭にお嬢さんが二人いらっしゃって、「お父さんいる?」って聞いたらすぐに呼んできてくれたのだ。
- 王さんは本当に素晴らしい方だった。サインペンも色紙も持参せず闖入してきた洟垂れ餓鬼相手に嫌な顔ひとつなさらず、僕たちが学校で使用しているノートやら(ハンドベースに使う)テニスの軟球やらにもサインしてくださった。帰り際に皆で振り返って「ぜったい世界一のホームラン王になってください!」と叫んだら、笑顔で頷かれて手を振られていた。
- みんな興奮して家路についた。ゴーくん、嬉しそうだった。
- あの時、つばの裏側にサインしていただいた讀賣巨人軍帽(濃紺色)は、三十七年経ったいまでも大切に保存しています。