某月某日
<幾つかの場面が連続した最後>
昭和40年代の終わりに台湾から転校してきた呉くん一家が住んでいたアパートが更地になっていて、奥には戦前に建てられていたらしい三階建木造集合住宅が姿をあらわにしている。周囲をながめるといくつもの同じような(まるでインドの木造住宅のような)経年劣化・老朽化の著しいアパートが点在しており、しかもいまだそこに暮らす人々のたづきがうかがわれ、部屋の奥には赤い鳥居を祀った大きな神棚が見えたりする。懐かしさよりも民俗学/建築学的に極めて貴重な気がして、さっきっから携帯電話のカメラで撮影しようと試みているのだが、どうしても住民や周囲のひとたちの目が気になってやめてしまう。名残惜しい気持で振り返ると、その建物自体が、ある種ヌミノーゼ的な感覚を齎すかのような、いってみれば「生命そのものの荘厳」というべき何かに観ぜられてきてハッとする。
[覚醒]
上記に顕れた建築物は以下のようなムードがありました。
リンク:1 (@神谷武夫とインドの建築)、
リンク:2
リンク:3