どういうわけか我が家の三畳間。

オートバイのカウルのようなモノを塗装しなくてはならない。

指導者は大学時代の友人R。

Rは、カウル表面にフローチャートのようなものを描きながら独り言のように作業説明をする。
こちらとしては全く意味が分からない。
というよりRには説明能力がない。
チャートの一部分に } を書き足し
「この } を“***”と呼んどるわけや」と地元方言でいう。

なにいってんだろう? ふつう「波括弧」「ブレース」じゃないのか?
それともこの工場ルールで“***”と読んでいるのか?
それはしかし“▲▲▲”と混同してしまうじゃあないか。
なにが「わけや」だ。馬鹿野郎。

つまらないことで頭を使っているうちに、彼がマーカーで引いたチャートの一部を消してしまった。あとでこっそりマニュアルを読んで書き直そうと思う。

Rは、塗料をつくるため二種類のナフサを<X:Y>の比率で混ぜ合わせるのだという。
なのでそれをもらいに行こうという。

要領を得ぬまま製造工場に戻って、火を入れられたナフサ(ということだが単なる練炭)が盛られた容器を受け取る。
Rは容器の真ん中に突き出た蓋をつかむが、オレの蓋は真っ赤に熱せられているので仕様がなく端っこをつかむ。
オレの危なっかしい手つきを見て、ナフサを手渡した工場の爺さんは至極不機嫌である。

三畳間に戻るとRは、そこにあるストーヴに置けという。
言われた通りにするが置き様がわるく容器はカナエから落ちそうになっている。

Rが厳しい態度をオレに示す。
彼はとても友人とは思えない完全な他者としてそこにいる。

これはしかし、危険な仕事でありながらろくな説明もできないお前の責任だろうが!
ああ不快きわまりない。

句読点、記号・符号活用辞典。

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