断煙の9年間

気がついたら禁煙して10年目に突入していた。18歳から15年間のんでいたのだが、もともと耳鼻咽喉が弱いスモーカーだったので日常生活に支障が出たところでやめた。つまりは、いわゆる意志力ではなく、耳鼻咽喉の弱さがかくまで長期の断煙を継続させているということになる。

そうした事情がありながらも、当時、大学時代の悪友からは「カスな奴だ」と評された。惻隠の情を知らない男である。友人を脱藩浪士扱いだ。

それからほどなくして湧き上がり、現在まで継続されている列島レベルでの喫煙全面禁止ブームについては、元喫煙者として「いくらなんでもいかがなものか?」とその盲目的な波及力・慣性力に呆れてはいたのだが、最近はもうどうでもよくなってきたね。

はっきりいってノンスモーカーの人たちに大変な迷惑をかけてきたのだなあと反省しているくらいだ。彼らの積年の恨みが底にあるので昔日のごとき自由な喫煙環境は復活しないだろうね。かっはははははは......とはいいながらも......やっぱ、喫煙できるひとが羨ましいというのが本音だ。

いまだに、一服して「ああうまい」とあいなる夢を見る。「いけねぇやっちまった、ずっと禁煙してたのに」と反省するものの、これを機会にタマにはいいんじゃなかろうかと大幅な譲歩を自分に許すのである。