『アメリカのユダヤ人』

土井敏邦アメリカのユダヤ人』(岩波新書)

ネルソン・マンデラ氏がイスラエルパレスチナ人政策に異を唱え、協力者(ユダヤ人)の敵はかならずしも敵ならずという姿勢でアラファトカダフィという別陣営の協力者への支持を表明し、ユダヤアメリカ人が大きく失望したこと。また、お父さん・ブッシュ政権時の対イラク戦争によってイスラエルが漁夫の利を得たこと。終章でその二点が触れられていたのが印象深かった。

あれから18年の間に、アラファトノーベル平和賞を受賞し、イスラエル首相・ラビンが暗殺され、北米では世界貿易センタービル焼尽、ブッシュの息子が大統領になってイラクがああなってフセイン大統領は死刑に処され、カダフィは丸くなり、世界の金融経済システムはやわになり、初の北米黒人大統領が誕生するなどなどなど、情勢は目まぐるしく変化したが、あそこらへんのきな臭さには変化はないようだ。

アメリカのユダヤ人 (岩波新書)

アメリカのユダヤ人 (岩波新書)