記憶術(七)

本年の目標のひとつは(いまさら)百人一首の暗記なのだが歳をとり記憶力ガタ落ちの砌にて謂わば無手勝流に漢字をあてて記憶している。

たとへば百人一首にはないが平忠度の一首の暗記はとても楽になった。
さざなみや志賀の都は荒れにしを昔ながらの山桜かな
(千載六十六)

<漣夜志賀野都者悪霊煮塩無瑕疵乍之山桜哉>

百人一首撰中だと持統天皇の一首の暗記がとても楽になった。
春過ぎて夏来にけらし白妙の衣干すてふ天香具山
(新古今・巻三・夏[一七五])

<春杉風夏鬼似氣裸姉白妙乃衣干眺天香具山>

問題は漢字のインパクトが歌のイメージを変えてしまうことにあらうかとは惟ふ。