伊丹十三というひとはやはり偉いひとだったのかもしれないと、岸田秀の話を読んで思うた。
岸田秀・岸田朱實ご夫妻へのインタヴュー「人嫌いの猫を手なずけてしまった伊丹さん」(『伊丹十三の本』所収:p.110)

六号で休刊することになった理由のひとつには、べらぼうに高い原稿料があったんじゃないかな。僕は翻訳を載せてたんですけど、翻訳の原稿料が一枚一万円でしたからね。他の雑誌では当時二千円しかもらえなかったから五倍です。これは伊丹さんが大判振る舞いをしていたというのではなくて、「著者やアーティストは大事にすべきである」という明確な考えのもとにやっていたことでした。一度「原稿料高すぎるんじゃない?」って聞いたことがあるんですけど「いや、これでも高くはないですよ」って答えてましたね。