『殺しの烙印』

町山さんの名解説に引き込まれレンタル屋で借りて鑑賞した。
客人護送中に追尾して来た一味をやっつけようとしたのに肝心のところで宍戸錠(主役)の相棒が屁垂れてしまう場面が――「妖しさ」という意味で――非常に味わい深く感ぜられた。なんとなればその刹那通過していく追っ手たちが、 突如流れ出す The Hanada Bop にリズムを合わせ、嘲笑うかのように車のドアを叩きはじめるからである。しかもピラーを挟んだ二つの掌が左右対称なのだ。

くわえて、顔無き追っ手たちのなかで一瞬だけ姿を現わす人間(ドライバー?)が、たとえるなら女装した伊丹十三とでもいうべき面相であることが、巧まずしてか仙花紙推理小説風なムードを醸成していることも印象深かった。