• 石川淳『諸國畸人伝』(中公文庫)の「小林如泥」を朗詠せむとおもへどもスタアバクスにをりしがゆゑ黙読を余儀なくす。余、之の掌篇を夷齋漁史の佳什の一つと斷言することを憚らず。再三讀むに價する傑作と云ふべきなり。
  • 飯田隆先生『クリプキ ことばは意味をもてるか』(NHK出版)は、発刊當時衝動買ひして抛りぱなしであつた。まず、挿してあつた受領票が隣町の老舗書店である事に驚いた。あそこでは『週刊新潮別冊 「創刊号」完全復刻版』を購入した事があるのみと思込んでゐたからだ。すかさず脳内仮想論敵者が吾に問ふ―「それが、森本浩一著『デイヴィドソン―「言語」なんて存在するのだろうか』を買ひ求めし折の受領票では無いなどと、だうして斷ずる事ができるのか?」と。Horrorなるかな。