『思想』

岩波書店『思想』2009年5月号第5号 No.1021所収

そのあと、youtubeでこれを観る。

『苦心の学友』を読んで、亡父の先輩世代とわたし世代との間に、ダルマストーブ&コークスが学童時代の共通体験としてあげられ得ることに気づいたのだけれど、大正生まれの思想家と同じく、「ゴーフル」「母親」「疚しさ」が幼児期の共通体験として結びついていることを知った。

早速このことを友人に話すと、彼は深く肯きながら「ゴーフルは高き処に在り」箴言を暗唱するが如く即答された。

ゴーフルの茶色く円い缶箱は大抵手の届かぬ箪笥の上に置かれており、幼子の僕は椅子にのっかって母親の目を盗んでこっそり一枚を戴くのであるが、それは全てバレバレなのである。

ただし......ではなく、勿論というべきか、「ご先祖様に申し訳ない。あなたを殺してわたしも死にます」と母親に眦を決せられたまでの経験はないけれども。