市川崑監督『ぼんち』での、京マチ子若尾文子船場ことばがずっと頭の隅に残響していたので原作を読もうかと本屋に寄ったら無かったので代わりに『しぶちん』をもとめて読みました。

上方ことばでは、「おえはん」「ごりょんさん」「飛行機さん」などなど「さん」or「はん」づけをようけ耳に致し枡ですが、その規則をあたくし半江戸者は、一般人(下の者)に親しみのある対象を「さん」、それほど親しみがない存在(上の者)を「はん」付けで呼び慣らわしてはるのかしらん、そいつは上方ネイティブじゃないと使い分けでけへんがなあとぼんやり推察しておりましたんですが、『大阪ことば事典』を借りて調べてみると、以下のとおりでありんした。

引用させていただきます。

以上をまとめると次のようになる。
すぐ前の音がイ段・ウ段・ン段の場合はさんのまま。ア段・エ段・オ段に限ってははんとなる。ただしすぐ前の音が、シ・ス・チ・ツ・トの場合は、それらの音は促音化する。また竹やん・源やんなどのやんは、さん・はんよりちゃんに近くより親しく目下の感じである。

編者によりますれば、谷崎潤一郎細雪』にはこれに関する無理な発音があるそうですよ。とはいえ、「いとはん」「いとさん」「とぉさん」の使い分け規則がいまいち分かりません。長音化するとまた別なのでしょうかねえ。「とうさん」なら分かるのですが……。いろいろと例外があるようなのでこれからも勉強します。押忍。

しぶちん (新潮文庫)

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ぼんち (新潮文庫)

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大阪ことば事典

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