北杜夫の大ファンだった大学時代の友人Sと卒業後再会したときに、最近の北さんは何やってんの? と訊いたら、「いやー、全然知らない……」と、北杜夫に限らず文学的な世界からはとっくに遠ざかったことを知らされてちょっと残念な気持ちになったことがあった。
彼が勤めている会社は体育会(軍隊?)系の気風が強かったので、そういう会社で必死になって働いていれば、そのうちフィクションや空想の世界と疎遠になるのも無理もないのかも知れないと独り納得していた。