ニキ・リンコ『スルーできない脳―自閉は情報の便秘です』(生活書院)

てっきり読んだつもりになっていた一冊。

馥郁たるアスディ(アスピィ)・フレイヴァーに満ち溢れた自己モニタリング報告の書。詳細な註が素晴らしい。

読みすすめるのは大変かと思われるが、(基本的な事柄を学んだ)非当事者が当事者の心理的プロセスを知る(というか『感じる』)ために、実は、最適な一冊かもしれない、と思う。

スルーできない脳―自閉は情報の便秘です

スルーできない脳―自閉は情報の便秘です

昨年読んだ、岡田尊司アスペルガー症候群』(幻冬舎新書) では、世界的ビッグネームのあの人もそうだったorそうなんだという事例を多く紹介するなど、Aspeyに対するネガティヴなイメージを払拭することに眼目が置かれていた。

ただし、その点を強調することは、診断されたばかりの当事者及びその家族にとっては福音となることもあろうが、そうでない人々にとってはじつに虚しく響くのではないか、と感じさせられた。

アスペルガー症候群 (幻冬舎新書 お 6-2)

アスペルガー症候群 (幻冬舎新書 お 6-2)