新書

浅羽通明アナーキズム』、ちくま選書

意外な参考文献やキーワードがふんだんに散りばめられているので読んでいて愉しかった。

特に、災害=ユートピアというテーマを立てた、マイケル・バークン『災害と千年王国』、北原糸子訳(新評論)という本が興味深い。
p185

突然に出現した、あけっぴろげで民主主義的な雰囲気のなかでいままで別々の人生を送っていた人々が結びつき一体化する。

阪神淡路大震災後ヒッキーたちが元気づいたということを、精神科医斎藤環氏がどこかで書いていた記憶があるが、既に「災害=ユートピア」という見立てがあったのだ。
『災害と千年王国』は近隣の図書館にあるみたいなので是非借りて読んでみたい。

あと「本願誇り」。

悪人こそ救済されるのなら生きているうちに悪行を働いておこうという、親鸞にとってハタ迷惑な「論理」のこと。

そういう風にひとの慈悲や善意を曲解したり、逆手にとる困ったヤカラを簡潔に言い表す言葉があるはずだと思っていたのだが、この「本願誇り」はまさにその一つ(かな)。

ところで冒頭には「アナーキー・イン・ザ・UK」と「イマジン」の歌詞(翻訳)が紹介されている。山形浩生さんによると、「イマジン」はポルポト状態を称揚する恐ろしい曲なんだそうだ。ha ha ha ha ha...。