»non-title«

昨年のことだが近所の図書館の閲覧室で折りたたんであったメモ用紙を開きながら呻吟しているかの如き表情をあらわにしていたおじさんがいて、服装は長袖にねずみ色のスラックス、そして、ジョギングシューズという地味ないでたちのおひとだったのだけど、机上には英語の聖書ギリシャ語文法書などが4~5冊ならべてあり、そのメモ用紙とは御自身が作成した自筆問題集であるらしきことが分かった途端、彼のその地味目の服装も語学をするうえで何らかの合理性を有するものであるかのように映ってくるのだった……。