黒沢清監督『叫』を今更ながら鑑賞した。
これまで観た映画のなかで »叫び« がいまだ脳内のどこかで叫び続けられているかのような印象を与えるものとしては、『惑星ソラリス』での、主人公の自殺したはずの妻が宇宙ステーションの部屋のドアを破って出てくるシーンと、『ブレイドランナー』での、主人公・デッカードによって射殺された元慰安婦型レブリカント・プリスの断末魔がまっさきに思い起こされるのであるが、『叫』には、前者からインスパイアされたのではないかと思わされるシーンがあって興味深かかった。
とはいえ当作品では、ラストシーンでの主人公のパートナー(小西真奈美)による声なき叫びこそが»叫び« として甦ってくるのである。

日中の場面に於いては、東京湾岸の廃墟やそれに近づきつつある建造物ならびに造成された時点ですでに荒廃の兆しを孕んでいる埋立地および造成中の現場などが常に弱いアンバーがかった光に包まれているのが審美的に素晴らしく感ぜられた。

と、これを記している只今微かな地震が発生した模様である。こわいのでこれ以上書くのをやめる。