シンクロニシティ

町田康の前説も含めて久々に爆笑させられた蓮實重彦大先生の記者会見では「向こうからやってきた」のくだりが気にかかっていた――屹度なにかからの引用に違いないからである。
それできょうの夜、借りていた本を中央図書館に返却した序に何気なく映画本(778//)まわりを彷徨いてみたところ、大先生の『映画狂人のあの人に会いたい』が目に入ったので早速手にとって頁をめくると、ダニエル・シュミットを招いた講演会での「素晴らしい出会いは、向こうからやってくる」と出くわすこととなり、とても吃驚させられたのだった(但し、記者会見での発言と関係があるか否かは分からなかった)。

また、これとは別のことではあるが、先日ポオの『ユリイカ』をリンク貼りした後日の図書館でも、たまたま手に取った歌集をひろげると、そこにポオへのオマージュが目にとびこんできたので非常に吃驚させられた次第なのであった。

藤原龍一郎歌集 楽園』(角川書店)

創元推理文庫、ハヤカワ ミステリの書影が浮沈してこそ微熱

モルグかも知れぬ社屋に致死量の電波を浴びる装置ありしか

谷川健一全歌集』(春風社)

わが肩に鸚鵡とまりて<ネヴァ、モア>とささやく夜をすぎて老いたり

谷川健一全歌集楽園―藤原龍一郎歌集 (角川短歌叢書)映画狂人のあの人に会いたい