むかし「サザエさん症候群」というのがあったでしょ? 日曜のゆうべにあのOPを観るだけで鬱になっちゃうっていうシンドローム。「ああもうすぐ魔の月曜日だ・・・」と誰しもが青ざめましたでしょ?
根拠はないんだけどね、あれ、本放送を火曜日にして、日曜は昭和50年代前半までのエピソードの再放送にしていたらもっと問題を軽くしてたと思うとるんですわ(もちろん東芝の単独スポンサーシップは本放送の方で)。
やっぱりね「老若男女に愛される日本国民のためのアニメ」みたいな立ち位置をフジテレビ(orスポンサー)が意識しはじめてからヤバくなってきたんじゃないかと思うんだわね。
なにがやばいかって「日曜サザエさん」ってね、ほのぼのホームコメディの体でいて、じつは瘴気と呼んでいいくらいの冷気を放射していたんだと思うのだよ。というか実際おれは昭和56年あたりからそれを意識しはじめてたんですわ。「火曜サザエさん」の奔放な笑い/ギャグに比較して「日曜サザエさん」は過度にタブーを抑圧しているんじゃないかってね。「波平ってもっと粗忽者だったろー」「タラもワカメももっと抜け目ない性格だったろうー」ってね。視聴者は「日本人の理想の家族像」なんてものじゃなくて、「高度経済成長期以降の日本の家族像」に共感してたんじゃないのかってね。

多分ね、過度に社会的タブーに抵触するまいとして、長谷川町子の持ち味(いじわるさ・はっちゃけさ)を抑圧・排除して、東京芝浦電気製の冷凍庫に隠蔽しちゃってたんですよ、制作者たちは。それのね、つまり、冷凍庫の扉を開閉する際に漏れ出る冷気ネ、それが、完全にデトックスされた軽快なるサウンド、および、エイケンの彩色/発色と一体化してね、ブラウン管から「サササササ〜〜」って放射されるという、なんていうか、意識されざるイメージがね、何十万(何百万?)という視聴者の心を病ませてきたのだと思うんですわ。まさに「んがっぐぐっ」ってね

「なにをこじつけやがってwww」って嗤いたくば嗤え。
でもおれはね、これ、たいへんな「善魔道」だったと思うとるんですわ。ずいぶん多くの人々を苦しめた。

そんでね、以前どこかで言ってらっしやったかと記憶しとるのだけどね、学魔・高山宏先生による長谷川町子論、いつ上梓されるのでしょうかね・・・けっこう愉しみにしとるんですけどネ。(談)

ブック・カーニヴァル

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