まだご存命なのであれなのだけれど、プラトン特講のさなか、何かに降臨されたとおぼしき K大先生は、「おお…そうか…」と小さく呟き、そのまま話を中断して窓際へ歩み寄り、空を見上げながら三十秒ほど沈思黙考することが何度かあった。
今頃になって俺は、K大先生は日本人に受肉した古代ギリシャ人なのかもしれないと感動している……。