Ruins

風邪がなおらん 咳がとまらん
雨がはげしくなってきおった

いつのまにやら丑三刻で
鉄輪にもえさし蠟燭の蠟涙さげて
つゆの杜をうろついとる女におもいを寄せた。

咋夏知りおうた時代劇の制作者が
とあるロケ地の車窓から目にしたのが
五寸釘を藁人形にうちつけとる
白装束の女だったそうで

そりゃ気の毒なことされましたな
目撃された詛いは呪者自身に返るというじゃありませんか
と難詰すると

俺を詛っとるババァの顔を俺は毎日拝んでるよといって
和田勉のように笑いだした。