'98年ごろ、原宿・東郷神社の蚤の市ではチベットの方が露店を開いていました。そこはまさしくつげ義春フレイヴァー漂う骨董ファンが蝟集していて、腕組みしながら、精しく鋳造されたヴァジュラバイラヴァ(ヤマーンタカ)の金銅仏やら、諸仏を浮き彫りにした年代物のレリーフ(こんな感じ)やら、ブータン仮面舞踏のマスク(の宝飾ヴァージョン)やらを眺めているのでしたが、皆さんなかなか手が出せず、毎度冷やかしで終わる様子でした。
常連腕組の情報によると御店主はW大学で講義もされているインテリとのことでした。一度、およそつげ的風景とは似つかわしくない二十歳くらいの女性と対話されているのを見かけたことがありましたが、おそらく彼の学生さんだったのでしょう。
昨年の暮にひさしぶりにのぞいて見ようかと思案しておったのですが、長引く不景気のためか蚤の市自体が閉会されていました。残念なことです。