レッツ オンド アゲイン
さあ、もう夏がきたことにしようじゃありませんか。今年も気狂いのような暑さがやってくるだろうから、まだ心地よい春のうちに爽やかな夏をイメージしておきましょう。
夏といえば盆踊りではないですか? ここで疑問形なのは「ハぁ?」という、昨今風の発音での反応が予想されるからです。
私は井中蛙の東京者ですが、毎夏旧盆あたりの2週間ばかり母の実家(武田百合子さんの『富士日記』にも記述されている町)に避暑していました。祖母が健在だった間の、生まれてから九回目の夏までです。近所の遊び相手は3歳以上の年長者ばかりだったので、かれらの後をくっついて夜遊びするのは本当にワクワクでした。小学校高学年、中学生、社会人一年生らの諸兄姉にまじっているだけでちょっぴり大人の仲間入りをしているような気持ちになってました。
かれらにとって盆踊りは社交として重要な場でした。ただし、子供のボクにはまだ良く分からない方面の愉しみを求めてのことですからあまりかまってくれません。なのでボクはひとりでバンバン踊ってましたね。エキサイティングでした。数年後に出会うロックと同様の興奮度でした。
その体験があるせいか、TBSラジオ「スネークマンショー」で初めて聴いたナイアガラ・フォーリン・スターズ「Let's Ondo Again」には思わずリズム(拍子)をとってしまいます(ついでといった感じですが、町田康『告白』の盆踊りシーンも想起されてきます)。
この曲を大瀧詠一の、一種諧謔のように捉えるひともあるかもしれませんが、岩手県出身者の彼はかねてから斯様なる“ONDO”をつくりたかったのだと私は思います(推察)。
環太平洋音楽に触手を伸ばしていた Ry Cooder が Going back to Okinawa を発表する9年前に、日本人自身の手でロック的“ONDO”が作られていたことはとりあえず祝着だといってよいのではないでしょうか。
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