きょうは20年に一度の登校日。新調した制服を着て地元の中学校へ行く。席に着くと、元同窓生たちは嬉しそうに近況を報告し合っている。

そこへ何故か私の高校時代の担任が入ってきて出席をとりはじめる。
彼は高校時代三年間付き合わされたアル中数学教師であり、今であれば即刻解雇対象となるようなドウシヨウモナイ反面教師である。今日まで教師稼業をやってられるのが不思議極まりない。

彼は随分と滑稽で規格外な雰囲気を醸し出していたのだが、今ではいかにも権威主義的なツラ構えである。見ているうちに非常に不快な気分になり、どこかに連れ出してビンタを交えて叱ってやりたいとまで思うようになる。

更に、秀才の誉高かった女子の一人がこれまた大秀才だった男子一名と席を同じゅうすることを確認して「今回は負けられないわよ!」と息巻いているのを見ると、もう我慢できず「なんでこんな奇習に従わなきゃいけないのか判らない。みんなよく制服なんか着て笑ってられるね」という旨の言葉を吐き捨て早退することを告げる。

担任は私のような人間の苦言など全く意に介せず、至極機械的に「それじゃ、報告書に記載します」とだけ冷たく言い放つ。

教室を出てガランとした校内をぶらぶらするうちに、これは奇習なんかではなく厳格に法制化された国民の義務であったことを思い出す。一週間出席し、小学校から高校までの全学科を再履修するプログラムであり、最終日にはテストが施され、成績次第では該当する学歴の削除がなされるのだ。しかも正当な理由なく二日以上欠席した人間に対しては厳罰が下されることになっているのだった。

あああ、明日またここに戻ってこなきゃならないのか......とても辛い気持ちで、廊下を掃除している公使いさんを眺める自分。


物ノ怪の如きもの背後にて吟ずるに
ゆめに顕る学舎は / 仄かに死臭充しつつ / 廃墟なりしも / 厳(いか)しくて在り