若い頃のNさんは、都内某名画座で上映プログラムを検討するチームの一員だった。
封切館では大コケした『 Blade Runner 』を、「いま出せば絶対客は来ますよ!」と、他のメンバーの反対意見を抑えて老支配人にイチ推しし、見事大入り続きとなった手柄を折に触れ話してくれるのであるが、本人曰く、「ブレードランナーなんて全然たいした映画じゃないと思うねえ、おれ個人はね・・」と(明確に当てこすりの)但し書きがつくのである。
ウィリアム・ギブスンに至っては、読むには読んだが、まったく理解できず、「ただ文字を追っているだけ」だったらしい。