非定型に出会いたくば比較的大きな企業による大量募集案件(事務)に日雇い派遣されるとよい。

説明会で周囲を見回すとだいたい分かる。

てっきり定型かと思っていたのに思いっきり非定型な人もいる。

非定型に対して陰で聞くに堪えない悪口を云う人間たちもいる。

最初は定型グループに属していたのに、本人がLDであることが発覚し、その日のうちにグループから排除された女性もいた。西原理恵子さんに似た中学生の子供がいる「かあさん」だった。

その定型グループのボスを俺はひそかに「シーシー」と渾名していた。老女となったクラウディア・カルディナーレに似ていたからだ。声はしゃがれていた。

シーシーから除者にされた西原(仮)さんは翌日から独りで昼飯をたべるようになり、業務で分からぬことがあると俺様に訊きに来るようになった。シーシーが呆れ逆上するのも分からないではないレベルの「理解の遅さ」ではあったが、おれも同類なせいか、西原(仮)さんの弱点が定型軍団よりは飲み込むことができたようで、なんとか業務の勘所を教示することが出来たのは(いまとなっては)よき思い出である。

シーシー軍団に所属していたときの西原(仮)さんは、軍団と一体になって、非定型たちを蔑み嘲嗤っていたのだったが、内心ではビクビクしていたのかもしれない。