その、肩からクビにかけての神経痛が酷かった頃のNさんと、東京・上野を街歩きしたことがあった。

Nさんは痛さを逃がすために始終片手をあげておられたので、昼日中だというのに、まるで眠り男チェザーレのような不穏なムードを周囲に発散されていたのであるが、遠くのひとが自身を呼び止められたと勘違いし、一瞬こちらに近づこうとすることもあったりして、なんとはなしに「やれやれ」な気分の俺であった。