友人たちと席についてノートをひろげると店長らしき男がやってきて、「お客サマ、当店でのお勉強はお断りしておりますので・・」と制してくるので、「は? 打ち合わせなんですけど・・」と云うと、「打ち合わせでもノートと筆記具の使用はご遠慮願ってをります」と抜かしやがるので、「いままでそんなこと云われたことなかったよ?」と申し述べると、かれは「ご協力お願いします」の一点張りで、一切妥協の余地なき姿勢を示すのであった。
バブル経済期のジョナサン某店でのことだ。
もちろんそんな狭い料簡の店舗が末永く客の愛顧をうけるはずはなく、当該店は何年のうちに撤退を余儀なくしていた。勿論おれはそのとき限りに利用するのをやめていた。

「学生街でそんな方針を打ち出したらどうなるかなんて直ぐ分かりそうなものなのに」とは思ったが、あとになって、学生街のファミレスやファストフード店などにおいては、学生達の度を越した長っ尻に業を煮やしている店舗が少なくないことを知った次第でもあった。

他大学に籍を置く友人のひとりなんぞは「こないだ部の連中と昼から夜まで九時間ロイホに居てやったぜウヒヒ」などと、まるで勝鬨をあげるかのように自慢していたことがあり、それを聞かされた俺は、「あんな所に九時間も居るなんて・・・よくもまぁ飽きないもんだねぇ・・・」と心底あきれたもんだった。