一番よく行く近所のカフェは様々な世代のひとが利用している。

おそらく住所不定かと思われる老年代の常連さんもいて、彼らには其処で知り合ったと思われる同年代のカフェ友がいる。
子供はいるが孫がいないと思われる婆と、年金も国民健康保険も無くずっと働き続けているらしいドカジャンを着ている爺が滲地味とした会話を繰り広げている。

爺「あっという間だったよな。この歳まで来るの」
婆「ほんと。あっという間」
爺「毎日何してるんだい?」
婆「お金もないし孫もいないしね。もうやることなんて無いのよ」
爺「あんたは年金もらってるんだろ?」
婆「生活費でおわり。ほとんど家賃で消えちゃう」
爺「まあでも帰る家があるっていいじゃないか」
婆「でも、あたしはずっとこんな人生だったわよ」
爺「戻れるならいくつに戻りたい?」
婆「うーん、せめて四十に戻りたいわ!」
爺「ずいぶん慾がないね。でも四十なら仕事は見つかるな」
婆「うーん……お金じゃないのよ、健康な体に戻りたいのよ」
爺「ああそうだな、まずは言うこと聞く身体に戻りたいよな」
婆「年寄りになって分かったのは健康が何よりってこと!」
爺「帰ってはこないからな、こればっかりは」
婆「四十の元気が戻ればね、もうそれだけで幸せよ」