15to20

おとといは近所の踏み切りでまた人身事故が発生した。
たまたまそこを通り過ぎたので数分間観察していたのだが、ひとが轢死したようには見えなかった。すくなくとも血痕が認められなかった。

警察の迅速な処理によって流血が洗浄された可能性もあるが、洗浄された跡も認められなかった。

ご老人が踏み切りでもたついているうちに遮断機がさがり、特急が猛スピードで近づいてきたので、乗っていた自転車をおっぽって難事を逃れたという事態ではなかったろうか? 踏切から15メートルほど離れた地点に点々と置かれた番号標識は、自転車の破砕諸地点を示していたのかもしれない。そういうことにしておこう。

とまっている列車内の乗客の表情も比較的のんびりとしているように見受けられた。ぎゃーぎゃー喚いても仕方ないよという風情であった。みなさん民度が高いね。

切迫した表情のインド人らしき青年に、隣駅まではこの線路に従って歩くのが一番ですか? と訊かれたので、まあ20分くらいかなと答える。彼は「あワーっ」と頭を抱える。おそらくひょうたん池大学に向かっている留学生じゃないかと思われる。「だいじょうぶ?」と心配すると、彼は「大乗部、だいじょうぶ!」と答えてとてもゆっくり歩を進めていた。

この即座の諦念はまさに大国の気風だよなーと感心し、屹度彼は民度人なのだろうと駄洒落たのだが、「そんなことよりオレは20分と答えるべきではなく15分と答えるべきではなかったか」と20分以上真剣に悩まされる。こういう場合のマージンをどうとるかの判断はASD系の人間にとってはまさに鬼門なのだ。