友人の家を訪れたシモーヌ・ヴェイユが、その友人の老いた両親が唄う歌を耳にして、なぜそんなくだらない歌を唄うのかと問うた逸話を思い出した。
おれがその老いた親の立場ならどう思うだろうか。
たとえば、坊屋三郎「おしっこしたくなっちゃった」を鼻唄していたところ、娘の友人から「なぜそんなくだらない歌を唄うのか?」と問われたとしたらどう思うだろうか?
日本民族コミュニティで知らぬ者はいない天才兄妹のひとりなのだから「やっぱり優れた子は違うなー」と感心するのではないか?

では、娘の、いつも洟をたらしている阿呆なボーイフレンドから言われたらどう思うだろうか?
「貴殿なんぞにおやつあげないよ」と言い放つのではなかろうか……。その図柄はほとんど烏滸絵のようなものではありはせぬか……。