Nさんは、エヴァンゲリオンが分からない、ガンダムが分からない――というかそもそも観たことがない、などとのたまうこと頻ではあるが、子供達との世代間ギャップのでかさを前にして、毎日つまらぬ思いでゐることがその間歇的歎き節からうかがわれる。

その一方でNさんは、アテネ・フランセだか日仏会館だかで、ストローブ=ユイレの『エンペドクレスの死』、『アンティゴネー』などを字幕なしで観られたときも「全然わかんなかったよ」などと歎いてみせるのであったが、その場合は観た事自体になにがしかの充実感を得ているように思えた。