じつは二年前の八月の真昼間、自宅に不法侵入した男と対面するという大事件がありました。
階下でTVを見ていたら天井がドンドンいうので、「いつのまにか誰か帰って来たのかしら」「それとも、気づかないだけでまだ誰か家に居たのかしら」と不思議に思い階段の半ばから首を伸ばして確かめると見知らぬおッさんがいたのでした。

このおッさんは手袋をはめて宅配or引越し業者のような恰好をしてました。長谷川町子描くところの盗人とは随分違う印象でした(といっても目撃時間は1秒程度)。

私が「ごおらぁぁあああってめぇ!!」と Death Voice を浴びせると、おッさんはビックラこいて何も盗らずに逃げていきましたが、庭の雨よけとしている透明の波板と梁の一部を破損していきやがりました。

でもまあ、警察署にて、被害届の手続きや犯人の似顔絵描きの協力をしているときに色々と興味深い話を聞けたので、「これはこれで儲けもん、これで善しとしましょう……」、真実そう思っていたのでした。

そのとき聞かされたお話を是非とも紹介したいのですが、ちょっと差し障りもあるので自制します。唇がむずむずするのですが。

さて、“住居侵入者にでくわした場合どうすればいいか”ですが、刑事さん曰く「状況にも依るが、もし自宅に怪しい人物がいて、かつ、あなたの存在に気づいてないのらば、いったん家から出て身の安全を確保してから携帯電話で110番するのが良策」ということです。

私はそれを以前から心得ていたつもりでした。なのに胴間声を上げてしまったのは「怒り」に近い感情に支配されてしまった結果ではないかと反省します。なんというか、<舐められている/馬鹿にされている>という気持ちが沸騰したのです。本当に一瞬でしたが、私の部屋から出てきたおッさんの表情が「くそっ、何にもねぇやここには」という風に映ったのです。そしてそれは事実です。どうせPCと古本くらいしかありませんから。

さて万が一相手が襲ってきた場合ですが、私の場合、当時の生活状況をふまえると、へんな話ですが、正当防衛ではすまされない致命傷を侵入者に与えていたのではないかという空恐ろしい?気持ちになります。

いやホント、いまこうして書き留めながら、つくづく我が家の椿事程度ですんでよかったという気持ちになってきました。