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そういえば交誼が途絶えた大学時代の学友J君から昨年末に15年ぶりのメールが届いた。
いまでは5歳になる娘さんがいて溺愛しているとのこと。
でも、日本語がほとんどだめなので、ご令室(華僑)の実家がある東南アジア某国に移住し、娘さんをインターナショナルスクールに入学させる予定だとのことであった。
J君は劇的な学歴クレンジングを成し遂げた男である。
幼稚園のときの知能検査では、「わたくしの30年以上にわたるキャリアのなかでここまで高い数値をだした子供はおりません。なにか(よい意味で)特別な教育を施されては如何でしょうか?」と、園長先生から驚きの言葉をたまわるほどだったのだそうだ。
しかし彼は米国に留学するまでは勉強がダメダメな人間だった。
かれの能力を引き出したのは米国の教育(と友人たち)であったことは周囲の人間からみて明白であった。
そういえば留学先から一時帰国した彼が「哲学の単位をとったよ」と云うので一体何を履修したのかと問うと、「プラトンのシンポジウムを読んでディスカッション、次に先生から『トローリー問題』を提示されてそれについてディスカッション・・・みたいなことを1年間やらされたよ。頭フル回転しなくちゃならなかったけど愉しかったよ!」とのことであった。
当時の彼はアリストテレスをアリストートル、バッハをバック、ゲッチンゲンをゴッチンゲンなどと(こちらを挑発するかのように)発音していのを思いだす。