以前一週間だけクロネコヤマトで働いたときは五人ほどの「スペクトラム濃い目」のひとたちと出会った。
昼飯のとき初対面だというのに矢庭に「体長**メートルの巨大烏賊が存在する事を知っていますか?」と訊いてきた青年がいたので「知ってるよ」と答えると、彼らからは詳細なデータが返ってきた。
次に「海にも蜘蛛がいることを知ってますか?」と訊かれたので、「ああそれね、水木しげるの『猫楠』ってマンガに出てきたので知ってるよ。南方熊楠がその標本を昭和天皇に献上したエピソードが出てくるのだよ」と答えた。
それがきっかけとなって構内で彼と擦違うときは、お互い「よ!」と挨拶しあう(程度の)仲になった。
爾来『猫楠』を本屋さん等で見かけるとそのときの青年のことを思いだすようになったのです。

猫楠 南方熊楠の生涯 (角川文庫ソフィア)