2017.06.26

昔勤めていた会社をやめるとき、退職金代わりに当事務所(マンション)の「一般住宅部分」を譲り受けていたおれは、それを16年間放置していたのだが、先月からそこに移り住んでいる。
各部屋10畳(戸建サイズ)ほどの広さで、3部屋が<仕事ルーム/コモンルーム(休憩所)/居住用ルーム>の間取りになっている。俺の部屋には専有の玄関があり、商業利用側と一般住宅側とではエレベータおよび地上の出入り口も違うので、一緒に仕事をしていた面々とはこれまで顔を合わせることがなかった。

仕事から帰宅しシャワーを浴びた後にラフな格好でコモンルームにいくと、上司だったGさんが、新案件の準備資料を確認しながらB4集計用紙になにやら記入している。
15年ぶりくらいの再会であるが、こっちは飲料片手にTシャツとスウェット姿なので、ちょっともうしわけない気持になりながら、Gさんが相変わらず夜遅くまで働く姿をながめている。
そのうちGさんが「よし、きょうはここまでだ!」と立ち上がったところで、すかさず「おはようございます!」と挨拶すると、そのまま「おはようー!」と返ってきたので、「あ『おはようございます』じゃねーや、もう夜の十時だし。。。」とセルフ突っ込みを入れながら照れ笑いしてみせたところ、Gさんは、俺の顔を一度も見ぬまま向こうに消えてしまう…。

「そうだよな、もう俺はあの会社の一員じゃないんだよな Gさんは厳格な人だから とーっくの昔に「元」従業員となった人間にキッチリ一線を引いてるんだよな」と拝察し、ずいぶん淋しい気持に支配されるが、「あれ? 会社ってそもそも解散することになって事務所も畳んだんじゃなかったっけか? Gさんもすでに隠居したはずだし……」と気づいた瞬間目が醒めた。