小西克哉のインタビューズ・オン・ジャパン (NHKテレビアンコール・3か月英会話) ムック – 2001/1


日本人の英会話能力云々についてしばらく喧喧囂囂/侃侃諤諤の本邦インターネッツワールドであったが、15年前にNHKから出た、小西克哉さんによる日本滞在経験の長い英語ネイティヴへのインタビュー集(テキスト+CD2枚)が英会話教材として秀逸であったので、是非ともここに紹介したい思っていたのに、いつのまにかそれを忘れていたことを思い出した。

今聴いて見ると、とにかく「日本って凄いですねー」な内容ではないのがよろしい(そういうモードの方もいらっしゃるが)。たとえば、某大学教授は日本の大学に雇われた外国人教員の待遇の非道さ、その国際的な基準からかけ離れた劣悪な状況について冷静なる切り口上で延々と小西氏に訴え続ける。俺はその切り口上に魅了される。

また、都市部の日本家屋のみすぼらしさに驚いた女性は、やがて、当国都市部の一般住宅に於いては設備を必要最小限にとどめ、代わりに街が拡張機能を担っていることに気づく。銭湯しかり。レストラン/居酒屋しかり、各種ホテルしかり……。なるほど、ものは言い様ということなのかもしれないが、“当国都市部の一般住宅に於いては設備を必要最小限にとどめ、代わりに街が拡張機能を担っている”という視点/表現は、なかなか日本人自身からは出てこないのではないか? とハッとさせられ、この見方に立つと、街場(都市部)での日本人の態度/慣習について色々と合点のいくことがあるのではないかと考えさせられる。

いずれにせよ、小西氏のフレンドリーなインタヴューぶり、というか、TBSラジオ『ストリーム』にも通ずるリラックスしたムードで各インタビュイーと接せられているのもこの教材のチャームポイントである。

そんで、いまアマゾンを閲覧してびっくらこいた。“¥ 12,000 より 1 中古品の出品”なのである。いくらなんでも……。