たまたま×1

学生時代、おれ、某外資系の事務所でバイトしていたことがあって、そこで雇われてたバイトっておれとSさんを除いて名門私大生、あるいは、名門国立大生揃いだったんだよね。
Sさんはへん差値的にはおれとおっつかっつな5流私大に通っていたんだけど富裕層子女が通うことで有名な某大女学生だったんだよね。しかもいかにも富裕層子女らしく中学or高校時代の幾年かをアメリカ合衆国某州のスクールに在籍していた帰国子女とのことで、滞米時代仲よしだった友達が某体育強豪大学のチアリーダーキャプテンとして日米親善試合で来日することになったというんだわさ。だもんでその友達から「ぜひ日本のナイスガイを紹介して頂戴。パーティーよろしくね! もりあがろうね!」って頼まれたんだと。で、色々とツテを頼って名門高へんさ値私大のインカレサークル(オールシーズンスポーツ愛好サークル)でブイブイいわしてた野郎どもを掻き集めたんだってさ。バブルの頃だからね、溝鼠のように掃いて捨てるほどいたんだよね、そういう輩は(文字通り掃ききって南シナ海あたりに捨ててほしかったとも思うんだけどね)。
それで、まあ、結果は散々だったらしいのだけど、Sキャラだった彼女、「もうっほんとーにつまんないのっ」だの、「キャプテンの子はさ『ちょっとこのムードなに??』みたいな目線送ってくるし」だの、「もうキミたちっていったい何なわけ?」だのって、同バイトの名門高へんさ値私大男子を言葉責めしてんだよね。彼らまったく無関係なのにね。無関係どころかあの浮ついた時代のなかにあって非常に真面目な男子達だったから遊びサークルでうつつ抜かしている学生なんて嫌いだったとも思うんだけどね。
まあSさんについては、「底意地の悪い女」「ちょっとアホの部類」のどちらかだったのだろうけど、おれは後者だったと思うんだわさ。だって、遊び系インカレサークルの連中って「おれたちはフリーだっ!」みたいな身振りでいながら無茶苦茶排他的だったでしょ? 身内でない人間、ましてや文化の違うソトの人間と愉しく飲み会やる能力なんてありそうになかったじゃん。専一に自分らのノリで盛り上がるだけで。メリケンカレッジ上位カーストの糞生意気ビッチを相手にちょっとでも盛り上げたいと思うんだったら体育会系男子を召還したほうがまだましだって気づきそうなもんだぜ。酒豪揃いだろうし。

こんなのってほんとうにどーでもよい直ちに抹消候補となるべき記憶のはずなんだけど【ジョック】とか【ジョックス】つー忌々しい語を目にするとどうしても想起しちゃうのよね。といっても吾ながらなにゆえ忌々しく感ずるのだろうか。おれはかのひとびととすれ違ったことすらないのだけども……。
そうだ! 単なるすれ違いということであれば、バスケットボール全米学生代表チームの面々と新宿駅東口でたまたま遭遇したことはある。全員ブラックメンだったね(各員女連れであった)。どうみても身長二百センチ以上はある半鐘泥棒なんだけどケツがおれの鳩尾のあたりに位置するのには心底ビックリした(記憶の改竄に違いないけれど最大ユニットはおれの鎖骨のあたりにケツがついていた)。「かなうわけがない」と、そう思ったよ。なにがどうかなうわけがないのか……いまとなっては曖昧模糊としているんだけどね。
ともかくこんな日記に結論なんてあるはずがない。まあ強いて言えば田臥勇太はドエライひとだ。国民栄誉賞レベルだ」ということかしら。