木造モルタルの御宅を静かにとり囲んでいる昔ながらの大谷石塀の、随所が剥落し擦過傷もそのままに放置されているのを見かけると、「ああこのおうちもそろそろかなー」としみじみとした気持になり、おおよそ一年以内には取り壊されてしまうのを眺める仕儀となる。
そのあとに建築されるのは、ほとんど庭がなく植樹も施されず、通りに面した側には窓がない、只今富裕層のあいだで流行っているらしき、まるで金庫みたいな御宅である。
けっこう前にニュースで観た、ながく泥棒稼業をはたらいたすゑにお縄になった男が建てていたという豪邸がまさにそれだったので、たいへん僭越ながらあのタイプのお家を 「平成夜盗型住宅」 と勝手に命名してをります。