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そういえば高校三年のときクラスの現国担当となったW先生からの初課題が「舞姫」の現代語訳だったことを思い出した。
W先生はほんのすこし夏木陽介に似た印象のあるひとで、最初の授業で「おれに『先生』はつけるなよ、愛称でよんでほしい!」と生徒たちに呼びかけたんだけど、以前から課外活動等で親しんでいた生徒はともかく、そのほかの生徒はなんだかTVの青春ドラマを地でいくような気恥ずかしさを覚えて、けっきょく最初から最後まで「W先生」で通したのだった。
かれは演劇部の顧問をつとめていた。
その演劇部には、生徒の服装に特に規定がない自由な校風だったにもかかわらず三年間セーラー服でとおした同学年でベストスリーに入る可愛い子が所属していた。卒業後かのじょが『機動戦士Ζガンダム』というアニメ作品で声優をやっていたことを知ったときは、すでに同級生の中からゆーめい人があらわれていたことに吃驚したものだった。
なので「舞姫」と聞くと、いまだに視聴したことのない『機動戦士Ζガンダム』というアニメ作品を連想してしまうのである。