会社を辞めるときの餞別に F君から『パノラマ島奇談』の文庫本(駅前の新刊書店で買ってきたもの)をもらったことを思い出した!
しかるに何故この俺に江戸川乱歩なのかまったく見当がつかなかったので「ありがとう。でもなんで乱歩?」と訊くと「ぜーったい好きに違いないと思いまして」と自信満々の答え(いまで謂うドヤ顔)が返ってきたのだった。小学生の頃ポプラ社の児童本シリーズを読みふけっていたので乱歩を好きか嫌いかのどちらかで答えればたしかに好きの部類に属する人間であることは間違いなかったのではあるが……

あとS君からは、彼が読了したばかりのソフィーの世界「イイカラこれ読んでみなよ、あげるから。感動するよ!」と、こちらの返答も訊かず一方的に手渡されたことがあった。
それ以前にもS君からは「これぜったい面白いよ!」と、なんだかわからぬがコサキンのラジオ番組内でのおふざけがスピンオフしたらしきシングルCDを押し付けられたことがあり、とほほと思いながらも家に帰ってから耳にしてみると、ジングルらしきメロディーに乗せてスタッフだか若手芸人だか俺の関知しない人物が苦手なジェットコースターに連れ出されてひたすら絶叫している様子を飽きもせずリピートしているという、とほほ気分を累乗化させる代物なのだった……